京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース
臨床バイオメカニクス研究室

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研究紹介

2023年度研究グループとテーマ

研究グループ 2023年度研究テーマ
肩関節 ①野球選手の投球障害肩に関する縦断研究
②姿勢と肩関節機能に関する研究
③肩関節バイオメカニクスに関する研究
股関節 ①変形性股関節症/寛骨臼形成不全症の関節負荷や病態進行に関する研究
②股関節不安定性の評価方法に関する研究
③股関節周囲筋(Iliocapsularis含む)、関節包靭帯の機能に関する研究
膝関節 ①変形性膝関節症患者の骨格筋および骨の変性に関連する因子の解明
②膝関節周囲筋・関節構成体のバイオメカニクスの解明
③膝関節疾患患者の進行を予測する新たな指標の確立
足関節 ①足部の筋腱特性と運動パフォーマンスとの関連
②腱機能向上に対する介入方法の新規開発
画像解析 ①AIを用いた骨格筋評価システムの開発と臨床応用
②統計形状モデルを用いた筋・関節評価方法の開発
③簡易歩行計測による足圧分布解析と機械学習モデルの開発
ストレッチング ①各筋に対する効果的なストレッチング方法の開発
②ストレッチングの効果における個人差のメカニズム解明
③筋力指標に対するストレッチング効果の解明
高齢者・トレーニング ①加齢に伴う骨格筋変性および筋機能低下に関する研究
②骨格筋質・神経筋機能の低下に対する効果的なトレーニング方法の開発
③筋力トレーニング効果指標の新規開発
動作解析 ①マーカレスモーションキャプチャによる運動学・運動力学的評価
②マーカレスモーションキャプチャによる骨盤・脊柱アライメントの評価
③慣性センサによる脊柱の動態解析
3D Analysis +シミュレーション ①足底圧分布画像時系列の解析用ソフトの開発
②関節角度解析手法の開発
③筋骨格モデルによる筋や腱の特性変化が膝関節や股関節の応力に与える影響

肩関節班

担当教員:市橋
D1:向井
M2:楠
M1:梅村・孫
客員研究員:梅原・上田
肩関節班
本研究班では、肩関節運動及びその制御方法の解明や最適な運動療法の開発を目標とし、実験室で行う基礎研究から患者を対象とした臨床研究まで幅広い研究に取り組んでいます。

肩関節バイオメカニクス

三次元動作解析装置を用いて、様々な動作や運動を実施している時の肩甲骨や上腕骨の運動を解析しています。さらに、これら肩関節運動の制御方法を調べるため、筋電図学的解析も実施しています。

肩関節バイオメカニクス その1

肩関節バイオメカニクス その2

肩関節バイオメカニクス その3

肩関節バイオメカニクス その4

肩関節バイオメカニクス その5

腱板筋の機械的特性

肩腱板断裂症例を対象に、エラストグラフィーを利用して腱板筋及び周囲筋の機械的特性を調べています。

腱板筋の機械的特性 その1

腱板筋の機械的特性 その2

研究紹介:ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴
(Ichihashi N et al., J Shoulder Elbow Surg, 2014)

研究紹介:ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴(Ichihashi N, et al. J Shoulder Elbow Surg. 2014)
  • ミリタリー・プレスは肩関節リハビリテーションにおいて頻繁に用いられる運動療法だが、これまでその運動学的特徴は明らかにされていなかった。
  • ミリタリー・プレスを実施中に肩甲骨、鎖骨、上腕骨の運動を電磁気式動作解析装置を用いて計測した
  • 通常の肩関節屈曲運動と比較して、ミリタリー・プレスでは肩甲骨運動の内旋減少、上方回旋増加、後傾増加が生じた。また鎖骨の後退と挙上の増加も認めた。

股関節班

担当教員:建内・八木
D3:王
D2:嚴田
D1:坂田
M1:郭・山口・飯田・虞
客員研究員・京大病院:山縣・本村・小松

変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究

変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究 その1
変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究 その2
変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究 その3

股関節不安定性の評価方法に関する研究

股関節不安定性の評価方法に関する研究 その1
股関節不安定性の評価方法に関する研究 その2
股関節不安定性の評価方法に関する研究 その3

股関節周囲筋(Iliocapsularis含む), 関節包・靭帯の機能に関する研究

股関節周囲筋(Iliocapsularis含む), 関節包・靭帯の機能に関する研究 その1
股関節周囲筋(Iliocapsularis含む), 関節包・靭帯の機能に関する研究 その2

膝関節班

担当教員:市橋・谷口・八木
D3:王
D2:岡田笙・岡田紗
D1:仲里
M2:佐藤
M1:飯田・虞
客員研究員・研究協力員:山縣・本村・浅山・岩根
MRI、超音波診断装置、三次元動作解析装置、筋電図などを使用して、変形性膝関節症患者の膝関節周囲に生じる様々な変化の解明を目指しています。また、その特徴に関連する要因を特定する介入研究や縦断研究を実施しています。基礎的なバイオメカニクス研究として、関節軟骨・半月板・筋腱の機能の新たな機能や特性を検証しています。

三次元動作解析による運動学的・力学的指標

歩行動作の計測

歩行動作の計測

関節負荷の定量化

関節負荷の定量化

関節軟骨変性の定量化

超音波診断装置による関節軟骨厚の評価

協調的な運動による膝関節の負担軽減に関する研究

協調的な運動による膝関節の負担軽減に関する研究

膝OA患者の腸脛靭帯の特徴と歩行時の力学的負荷との関連

膝OA患者の腸脛靭帯の特徴と歩行時の力学的負荷との関連

 

足関節班

担当教員:廣野
M2:廣澤・楠・杉崎
M1:梅村・吉田・有川・郭
客員研究員:佐伯
足関節班では、足関節周囲筋腱の特性や機能を明らかにし、障害予防やパフォーマンス向上のための効果的なトレーニング方法の立案に取り組んでいます。

筋・腱の力学的特性に関する研究

超音波画像装置と等速性筋力測定装置を用いて筋腱複合体の力学的特性を評価し、スポーツ障害・各種パフォーマンスとの関連や介入による変化を明らかにします。

足部の筋の硬さを測定

動作戦略に関する研究

三次元動作解析装置と床反力計を用いて動作戦略の特徴を調査し,動作中に身体に加わる負荷を明らかにします。

動作戦略の測定

画像解析班

担当教員:市橋・パタキ・谷口・八木
D3:王
D2:岡田紗・嚴田・岡田笙
D1:仲里
M2:佐藤
M1:冨田・孫・虞・有川
客員研究員・研究協力員:福元・梅原・浅山

骨格筋画像解析システムの構築

AIを用いて簡便に精度よく筋量や筋質を評価できる画像解析システムの開発を行っています。この開発に合わせ、筋変性指標の新規創生と臨床活用の方策を検討しています。
骨格筋画像解析システムの構築
骨格筋画像解析システムの構築

早期変形性関節症を検出する新たなバイオマーカーの確立に向けた取組

変形性関節症(OA)が生じる前段階として、早期膝OAが注目されており、これまではMRIによる軟骨評価を行う必要がありました。MRI評価は臨床活用に制限があるため、超音波画像から軟骨の早期変性を検出する取り組みを進めています。

研究室外で使用できる定量的歩行解析システムへの発展と臨床活用法の開発

簡易歩行解析システムを使用し、足圧指標を主体として三次元歩行解析を行っています。その結果をもとに小型センサー搭載シューズへ応用展開し、研究室外にて計測できる定量的歩行評価の実現を目指します。

ストレッチング班

担当教員:市橋・八木
D3:王
D2:向井
M2:廣澤
M1:吉田・孫・飯田
客員研究員・研究協力員:佐伯・梅原・中尾・簗瀬・西下
超音波診断装置やダイナモメータを用いて効果的なストレッチング方法の開発(各筋の選択的なストレッチング方法や柔軟性向上に必要なストレッチング時間の検討など)に取り組んでいます。
さらに、筋の柔軟性向上効果が実証されたストレッチングを行い、筋力や肩甲骨運動などのパフォーマンスがどのように変化するかについても検討しています。

高齢者・トレーニング班

担当教員:市橋・谷口・廣野
D3:王
D2:岡田紗・嚴田
M2:佐藤・廣澤
M1:梅村・郭・飯田・吉田・有川
客員研究員・京大病院:池添・井口・加藤・中尾・田中
患者や高齢者に対する有効なトレーニング方法の開発

患者や高齢者に対する有効なトレーニング方法の開発

トレーニングを構成する要素には、負荷量、収縮様式、運動量、休息時間などがあり、様々な要素の組み合わせによってそれら効果は異なると考えられます。
目的に応じた最適なトレーニングを処方するために、基礎的な実験・研究を行っています。

トレーニング効果の予測因子の検証

トレーニング効果(筋力・筋量・筋質の改善)に関わる因子の分析や、トレーニング効果を予測する指標についても検討し、実験・研究を行っています。

超音波診断装置B-mode画像

一部位における超音波画像
筋の厚み(※1)筋の輝度(※2)の評価が可能

(※1)局所的な筋量指標
(※2)筋の質的指標

研究紹介 (Hirono T et al., J Strength Cond Res, 2020)


運動直後に生じる一過性の筋厚増加
→水分変化や炎症発生など浮腫や腫脹による現象

【目的】

定量的に評価した筋浮腫・腫脹が将来の筋肥大に影響するか?

【方法】
膝関節伸展RTを実施
負荷…80%1RM
回数…8回 3set
頻度…週に3回 6週間初回運動前後から筋浮腫・腫脹を評価
6週間のトレーニング前後から筋肥大を評価
【結果】

有意な正の相関関係(相関係数0.443, p < 0.05)
初回運動時の筋浮腫・腫脹が大きい対象者ほど6週間後に生じる筋肥大が大きい

動作解析班

担当教員:建内・八木
D2:岡田笙・向井
D1:坂田・仲里
M2:楠・杉崎・佐藤
M1:冨田・孫・山口・虞
客員研究員・京大病院:太田・佐伯・本村・小松
  • 深層学習を用いたアルゴリズムによる姿勢・動作評価システムの開発
  • 脊柱アライメント・運動の評価システムの構築
  • 脊柱アライメント・運動の特徴と関連因子の解明

深層学習を用いたアルゴリズムによる姿勢・動作評価システムの開発

脊柱アライメント・運動の評価システムの構築

脊柱アライメント・運動の特徴と関連因子の解明

3D Analysis Team

担当教員:パタキ・建内・谷口・八木・廣野
D1:坂田・仲里
M2:杉崎
M1:冨田・郭・山口
客員研究員:山縣・梅原

3D Analysis・シミュレーション班は応用統計手法と数値シミュレーション手法を開発することにより、ヒト運動の解析可能性を増やすことと、解析の客観性を強めることを目指しています。

3D自動的形態解析
3D自動的形態解析
骨や筋等の3次元形状をMRIや超音波等で計測し、表面モデルの郡間の差や病状との関連等を自動的に解析できるソフトを開発しています。
3D関節角度解析
3D関節角度解析
関節の回転運動は回転自由度が三つありますが、右の図のとおり、二つの角度的変数でも線形変数よりも数学的に複雑であるため、三次元運動の実際の複雑さを考えた解析手法を開発しています。
筋骨格モデルによる解析
内側と外側コンパートメントにかかる圧縮力(KCF_MedとKCF_Lat)を推定

症状の強い変形性膝関節症患者は歩行中のKCF_Medが大きくKCF_Latが小さい
Yamagata M et al. Journal of Biomechanics, 2021

症状の強い変形性膝関節症患者は歩行中のKCF_Medが大きくKCF_Latが小さい

股関節の筋力低下を伴う場合,股関節のストレスを最小限にするためにOUT-squatが推奨される
股関節の筋力低下を伴う場合,股関節のストレスを最小限にするために
OUT-squatが推奨される

症状の強い変形性膝関節症患者は歩行中のKCF_Medが大きくKCF_Latが小さい

 

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