2022年度研究グループとテーマ
研究グループ | 2022年度研究テーマ |
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肩関節 | ①肩関節バイオメカニクスに関する研究 ②投球障害肩に関する前向き縦断研究 ③肩腱板断裂症例における筋機能の検討 |
股関節 | ①変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究 ②股関節不安定性の評価方法に関する研究 ③股関節周囲筋(Iliocapsularis含む)、関節包・靭帯の機能に関する研究 |
膝関節 | ①変形性膝関節症患者の骨格筋および骨の変性に関連する因子解明に向けた縦断研究 ②膝関節周囲筋および関節構成体の機能に関するバイオメカニクス研究 ③膝関節疾患の進行を予測できる新たな指標の確立に向けた研究 |
足関節 | ①足関節底屈筋トレーニングによる立位バランスへの効果検証 ②足部構造と運動戦略に関する研究 ③アキレス腱の力学的特性に関する研究 |
画像解析 | ①AIを用いた骨格筋評価システムの開発と臨床応用 ②超音波画像を用いた筋・関節評価方法の開発 ③簡易歩行計測による足底圧分布・動画解析 |
ストレッチング | ①各筋に対する効果的なストレッチング方法の開発 ②筋伸張と関節位置覚の関連についての研究 ③腰痛再発症リスク因子の解明ー筋や筋膜の柔軟性に着目してー |
高齢者・トレーニング | ①加齢に伴う骨格筋および運動機能特性に関するコホート研究 ②筋輝度・筋弾性率が筋機能に及ぼす影響とその効果的なトレーニング方法の検証 ③筋量・筋力増大に影響するトレーニング変数の機械学習を用いた網羅的解析 |
予防理学療法 | ①深層学習を用いたアルゴリズムによる姿勢・動作評価システムの開発 ②画像解析技術を応用した姿勢・動作評価システムの開発 ③障害予防を目的とした新たな評価および運動プログラムの開発 |
3D Analysis +シミュレーション | ①形態解析手法の開発 ②関節角度解析手法の開発 ③筋骨格モデルによる筋や腱の特性変化が膝関節や股関節の応力に与える影響 |
ワコール | ①加齢に伴う外見的特徴の変化の解明 ②外見的特徴と運動機能や筋特性の関連の解明 ③運動介入による運動機能および外見的特徴の変化の解明 |
肩関節班
M2:向井
M1:小坂・野田
客員研究員・研究協力員:梅原・上田
- 本研究班では、肩関節運動及びその制御方法の解明や最適な運動療法の開発を目標とし、実験室で行う基礎研究から患者を対象とした臨床研究まで幅広い研究に取り組んでいます。
肩関節バイオメカニクス
腱板筋の機械的特性
研究紹介:ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴
(Ichihashi N et al., J Shoulder Elbow Surg, 2014)
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- ミリタリー・プレスは肩関節リハビリテーションにおいて頻繁に用いられる運動療法だが、これまでその運動学的特徴は明らかにされていなかった。
- ミリタリー・プレスを実施中に肩甲骨、鎖骨、上腕骨の運動を電磁気式動作解析装置を用いて計測した
- 通常の肩関節屈曲運動と比較して、ミリタリー・プレスでは肩甲骨運動の内旋減少、上方回旋増加、後傾増加が生じた。また鎖骨の後退と挙上の増加も認めた。
股関節班
M2:佐々木・嚴田・奥村
M1:浮貝・百武・坂田
客員研究員・研究協力員:山縣・本村・小松
変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究



股関節不安定性の評価方法に関する研究



股関節周囲筋(Iliocapsularis含む), 関節包・靭帯の機能に関する研究


膝関節班
M2:岡田笙・岡田紗
M1:新谷・小坂・仲里
客員研究員・研究協力員:山縣・本村・廣野・浅山・岩根
三次元動作解析による運動学的・力学的指標
歩行動作の計測
関節負荷の定量化
関節軟骨変性の定量化
T2マッピングによる関節軟骨の質評価
超音波診断装置による関節軟骨厚の評価
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協調的な運動による膝関節の負担軽減に関する研究
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膝OA患者の腸脛靭帯の特徴と歩行時の力学的負荷との関連
足関節班
M1:小坂・仲里・野田
客員研究員・研究協力員:小松
筋・腱の力学的特性に関する研究
動作戦略に関する研究
画像解析班
D2:王
M2:向井・岡田紗・嚴田・岡田笙
M1:仲里・百武・坂田
客員研究員・研究協力員:福元・梅原・浅山
骨格筋画像解析システムの構築
早期変形性関節症を検出する新たなバイオマーカーの確立に向けた取組

研究室外で使用できる定量的歩行解析システムへの発展と臨床活用法の開発

ストレッチング班
D1:王
M2:向井・嚴田・室田
M1:小坂
客員研究員・研究協力員:池添・梅原・簗瀬・西下
さらに、筋の柔軟性向上効果が実証されたストレッチングを行い、筋力や肩甲骨運動などのパフォーマンスがどのように変化するかについても検討しています。
高齢者・トレーニング班
D2:王
M2:室田・岡田紗
M1:新谷・仲里・野田・坂田
客員研究員・研究協力員:池添・井口・加藤・中尾・廣野・田中
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患者や高齢者に対する有効なトレーニング方法の開発
トレーニングを構成する要素には、負荷量、収縮様式、運動量、休息時間などがあり、様々な要素の組み合わせによってそれら効果は異なると考えられます。
目的に応じた最適なトレーニングを処方するために、基礎的な実験・研究を行っています。
トレーニング効果の予測因子の検証
トレーニング効果(筋力・筋量・筋質の改善)に関わる因子の分析や、トレーニング効果を予測する指標についても検討し、実験・研究を行っています。
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超音波診断装置B-mode画像
一部位における超音波画像
筋の厚み(※1)や筋の輝度(※2)の評価が可能(※1)局所的な筋量指標
(※2)筋の質的指標
研究紹介 (Hirono T et al., J Strength Cond Res, 2020)
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運動直後に生じる一過性の筋厚増加
→水分変化や炎症発生など浮腫や腫脹による現象【目的】
定量的に評価した筋浮腫・腫脹が将来の筋肥大に影響するか?
【方法】
- 膝関節伸展RTを実施
負荷…80%1RM
回数…8回 3set
頻度…週に3回 6週間初回運動前後から筋浮腫・腫脹を評価
6週間のトレーニング前後から筋肥大を評価
【結果】
有意な正の相関関係(相関係数0.443, p < 0.05)
初回運動時の筋浮腫・腫脹が大きい対象者ほど6週間後に生じる筋肥大が大きい
予防理学療法班
M2:佐々木・岡田笙・奥村・室田
M1:新谷・浮貝・百武・坂田
客員研究員・研究協力員:本村
- 深層学習を用いたアルゴリズムによる姿勢・動作評価システムの開発
- 画像解析技術を応用した姿勢・動作評価システムの開発
- 障害予防を目的とした新たな評価および運動プログラムの開発
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フレーム差分法によって、複数の連続する画像から対象物の動きを検出することが可能です。それを応用し、片脚立位やジャンプ着地など,バランス課題中の身体の動揺を簡単に測定しようと試みています。
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スケルトンアルゴニズム(OpenPose)によって、市販のデジタルカメラで撮像した画像から深層学習で自動的に関節点を推定することが可能です。それを応用し、動作中の下肢の関節角度や歩幅などの歩行パラメータを簡単に測定しようと試みています。現在、発展的な技術を用いて、関節負荷の測定や患者での測定を試みています。
3D Analysis Team
M2:嚴田・岡田笙・奥村・岡田紗・向井
M1:浮貝・野田・百武・仲里
客員研究員・研究協力員:山縣・梅原・小松
- 形態解析手法の開発
- 関節角度解析手法の開発
- 筋骨格モデルによる筋や腱の特性変化が膝関節や股関節の応力に与える影響
3D Analysis・シミュレーション班は応用統計手法と数値シミュレーション手法を開発することにより、ヒト運動の解析可能性を増やすことと、解析の客観性を強めることを目指しています。
3D自動的形態解析
- 骨や筋等の3次元形状をMRIや超音波等で計測し、表面モデルの郡間の差や病状との関連等を自動的に解析できるソフトを開発しています。
3D関節角度解析
- 関節の回転運動は回転自由度が三つありますが、右の図のとおり、二つの角度的変数でも線形変数よりも数学的に複雑であるため、三次元運動の実際の複雑さを考えた解析手法を開発しています。
筋骨格モデルによる解析
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Yamagata M et al. Journal of Biomechanics, 2021症状の強い変形性膝関節症患者は歩行中のKCF_Medが大きくKCF_Latが小さい
股関節の筋力低下を伴う場合,股関節のストレスを最小限にするために
OUT-squatが推奨される-
ワコール班
D2:王
M2:向井・佐々木・嚴田
M1:新谷・浮貝・坂田
客員研究員・研究協力員:池添・加藤
- 加齢に伴う外見的特徴の変化の解明
- 外見的特徴と運動機能や筋特性の関連の解明
- 運動介入による運動機能および外見的特徴の変化の解明
ワコール班は株式会社ワコール 人間科学研究所との共同研究として、姿勢や体型などの外見と運動機能や運動器障害との関連を明らかにしようと取り組んでいます。