京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース
臨床バイオメカニクス研究室

大学院生募集

研究紹介

2020年度研究グループとテーマ

研究グループ 2020年度研究テーマ
肩関節 ①肩関節バイオメカニクスに関する研究
②肩関節疾患に対する保存療法の効果検証
③肩腱板断裂症例における筋機能の検討
股関節 ①変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究
②股関節不安定性に関する評価方法の開発
③Iliocapsularisに関する研究
膝関節 ①膝関節の運動と筋機能との関連の解明
②変形性膝関節症患者への効果的な理学療法と進行予測指標の開発
③変形性膝関節症患者の骨格筋変性に関連する因子の解明
足関節 ①足関節底屈筋force steadiness改善による立位姿勢変化
②浮腫発生要因の探索と身体機能に及ぼす影響
トレーニング ①超音波画像診断装置や生体電気インピーダンス法を用いた筋力トレーニング効果指標の新規開発
②末梢性磁気刺激を用いた神経筋機能の即時変化の検証
③筋量/筋力増大に影響するトレーニング変数の機械学習を用いた網羅的解析
ストレッチング ①各筋に対する効果的なストレッチング方法の開発
②ストレッチングが筋腱の柔軟性に及ぼす効果の検証
③物理療法とストレッチングを複合した新たな拘縮治療の開発
高齢者 ①加齢に伴う骨格筋の質的低下に関連する因子の解明
②高齢者の運動機能特性(動的バランス)に関する研究
③高齢者の運動機能向上に関する大規模コホート研究
予防理学療法 ①深層学習を用いたアルゴリズムによる姿勢・歩行評価システムの開発
②画像解析技術を応用した身体動揺評価システムの開発
③障害予防を目的とした新たな評価および運動プログラムの開発
3D Analysis Team ①平面に分けた運動データ解析の妥当性の検討
②股関節の形状と臨床症状の回帰分析に関する研究
③筋骨格モデルを用いた筋張力変化と関節応力の関連性の分析
④動作様式の違いによる関節応力の変化の検討
姿勢 ①疼痛や運動機能低下を予測する外見特徴の変化に関する後方視的研究
②運動機能の変化と外見特徴の変化との関連についての縦断研究
③ベースラインの機能が今後の運動機能・外見特徴に及ぼす影響

肩関節班

担当教員:市橋
M2:浅山
M1:小林
客員研究員:梅原 上田 西下

肩関節班
表面筋電図や三次元動作解析装置を用いて肩関節の運動や筋活動を計測することで、肩関節キネマティクスに関する基礎研究や最適な運動療法の開発に取り組んでいます。
さらに、肩関節疾患患者さんや野球選手の運動力学的特性の解明やこのような対象者に対する理学療法介入の効果検証も行っています。

Electromagnetic Tracker

電磁気式動作解析装置を使用し、肩甲骨や上腕骨の動きを計測します。
肩関節にとって肩甲骨の運動は重要であるため、姿勢の変化や理学療法介入によって肩甲骨の動きが変化するか研究しています。

Electromagnetic Tracker その1
Electromagnetic Tracker その2

Surface Electromyography

表面筋電図を用いて、非侵襲的に運動中の筋活動を計測します。
肩関節の動きに重要である僧帽筋や前鋸筋、肩腱板筋などの最適なトレーニング方法の立案に応用できます。

Surface Electromyography その1
Surface Electromyography その2

研究紹介:ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴
(Ichihashi N, et al. J Shoulder Elbow Surg. 2014)

研究紹介:ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴(Ichihashi N, et al. J Shoulder Elbow Surg. 2014)
  • ミリタリー・プレスは肩関節リハビリテーションにおいて頻繁に用いられる運動である。
    しかし、これまで運動学的特徴は明らかにされていなかった。
  • 成人男性を対象に2kgの重錘を把持した状態で、ミリタリー・プレスを実施した。
    運動時の肩甲骨、鎖骨、上腕骨の運動を電磁気式動作解析装置を用いて計測した。
  • 通常の肩関節屈曲運動と比較して、ミリタリー・プレスでは肩甲骨運動の内旋減少、上方回旋増加、後傾増加が生じた。また鎖骨の後退と挙上の増加も認めた。
  • ミリタリー・プレスにおける肩甲骨と鎖骨の運動学的特徴は、肩関節疾患患者に対して肩甲骨運動を再教育するためのエクササイズに有用である。

股関節班

担当教員:建内
研究員:八木
M2:浅山
M1:小松
客員研究員:山縣 本村

運動学的な基礎的研究として、股関節の運動の特徴の解明やその評価方法の開発(股関節不安定性、股関節周囲筋の筋張力バランス、股関節深層筋の機能評価)に取り組んでいます。
臨床的研究として、股関節疾患患者を対象者とし、疾患進行の要因の特定や運動と症状との関連を検討しています。

運動学的基礎的研究 股関節不安定の特徴の解明~特に筋収縮に伴う大腿骨頭変位量についての検討~

大腿骨頭の並進運動が
  • 筋収縮により生じるか
  • 股関節痛者で変化するかを検討
臨床的研究 変形性股関節症進行のリスクファクター解明のためのコホート研究

変形性股関節症の進行には、
  • 股関節累積負荷の大きさ(股関節への負荷と1日の活動量から計算)が関連
  • 脊柱の柔軟性やアライメント(姿勢)が関連

膝関節班

担当教員:谷口
研究員:八木 加藤
D3:廣野
M2:浅山
M1:岩根
客員研究員:山縣

三次元動作解析装置および床反力計を用いて、動作中の運動学的・力学的指標を可視化、定量化することで、関節負荷の軽減や協調的な運動方法に関する開発に取り組んでいます。変形性膝関節症やスポーツ障害を有する対象者を測定することにより、特徴的な動作パターンと症状との関連についても検討しています。

三次元動作解析による運動学的・力学的指標

歩行動作の計測

歩行動作の計測

モーションキャプチャーによる可視化と定量化
  • モーションキャプチャーによる可視化と定量化
  • 歩行中の関節負荷の指標
変形性膝関節症患者に対する効果的な理学療法の開発に関する研究

研究紹介:Koyama Y, et al. Clin Biomech. 2015

膝OA患者の降段動作について分析

降段時の身体重心位置と歩行機能が関連
身体重心位置の制御には足関節モーメントが重要

協調的な運動による膝関節の負担軽減に関する研究

研究紹介:Tajima T, et al. Hum Mov Sci. 2018

立脚時における関節負荷軽減のための歩行戦略の検討

立脚時の衝撃吸収を意識することで関節負荷を軽減 この歩行戦略には、立脚後期の反対側足関節機能が重要

足関節班

担当教員:谷口
研究員:八木
D3:廣野
M2:林
M1:小林 小松

足関節班では、足関節周囲筋腱の特性や機能を明らかにし、障害予防やパフォーマンス向上のための効果的なトレーニング方法の立案に取り組んでいます。

足関節戦略と姿勢制御

足圧中心を記録できる不安定板や外乱を引き起こす機器を用いることで、姿勢制御能力を評価します。
足関節の筋機能と併せて評価を行うことで、姿勢制御に関わる足関節周囲の機能を明らかにします。

足関節周囲筋の筋機能(最大筋力など)評価
足関節周囲筋の筋機能(最大筋力など)評価
不安定版上での姿勢制御課題および測定
不安定版上での姿勢制御課題および測定

足関節底屈筋において、一定の筋力を安定して発揮する能力(Force steadiness)と片脚立位中の足圧中心(COP)の変動との関連を検討

安定した面には、最大の5%のForce steadiness、不安定な面には、最大の20%のForce steadinessがそれぞれ関連

(Hirono, et al. ECSS 2019)

接地パターンの異なる中長距離ランナーの下腿三頭筋及びアキレス腱特性の比較

超音波画像診断装置や多用途筋機能評価運動装置を用いて接地パターンの異なるランナーの下腿三頭筋及びアキレス腱特性を
明らかにします。

トレッドミルと二次元動作解析装置を用いて接地パターンを判別
トレッドミルと二次元動作解析装置を用いて接地パターンを判別
弾性率が低いアキレス腱
弾性率が低いアキレス腱
弾性率が高いアキレス腱
弾性率が高いアキレス腱
※弾性率が高いほど腱が硬いことを示す

トレーニング班(介入研究を含む)

担当教員:市橋 池添 谷口
研究員:加藤
D3:廣野 簗瀬
D2:田中
M2:浅山 林
M1:岩根
客員研究員:井口 中尾

BIODEX を用いて、筋力測定や筋力トレーニングを行う
BIODEX を用いて、筋力測定や筋力トレーニングを行う
筋力増強、筋肥大効果を得るためには高負荷でのトレーニングが推奨されていますが、血圧の上昇や関節負荷の増大などのリスクを抱えており、術後患者や高齢者への高負荷トレーニングは適用困難な場面が多いのが現状です。

本研究室では、低負荷であっても効果的な筋力トレーニング方法の開発や 運動後に生じる骨格筋の変化の評価を行っています。

トレーニング介入前後の大腿前面横断画像

超音波診断装置を用いて、非侵襲的に筋の形態学変化(筋断面積・筋厚)や筋の質的評価(筋輝度)を行う

トレーニング介入前後の大腿前面横断画像
上面から順に 皮下組織、大腿直筋、中間広筋、大腿骨
介入後に筋厚(浅層の筋膜~大腿骨上面の距離)が増加している

研究紹介 (Ikezoe T, et al. 2017)

低負荷・高反復筋力トレーニングと高負荷・低反復筋力トレーニングの効果を比較

低負荷・高反復筋力トレーニングと高負荷・低反復筋力トレーニングの効果を比較

【方法】

週に3回、8週間の膝伸展筋力トレーニング介入

低負荷群

⇒ 30% 1RMの運動強度で8回12セット施行

高負荷群

⇒ 80% 1RMの運動強度で8回3セット施行

筋力(1RM)や筋厚の変化を縦断的に評価

【結果】

筋力(1RM[右上図)、筋厚[右下図]
いずれも群間に差はなく、同様の変化を示した
(*PREとの差,†2週目との差,‡4週目との差,§6週目との差)

低負荷であっても、反復回数を増加させることで
高負荷と同じように筋力増加、筋肥大を生じさせることを示唆

ストレッチング班

担当教員:市橋 池添
研究員:八木
D3:簗瀬
M2:浅山 林
M1:岩根
客員研究員:森下 佐伯 梅原 中尾 西下

超音波診断装置で計測した弾性率を指標として用いることで、効果的なストレッチング方法の開発(各筋の選択的なストレッチング方法や柔軟性向上に必要なストレッチング時間の検討など)に取り組んでいます。
さらに、筋の柔軟性向上効果が実証されたストレッチングを行い筋力や肩甲骨運動などのパフォーマンスがどのように変化するかについても検討しています。

従来のストレッチングの効果指標

①関節可動域 ROM
②受動的トルク Passive torque(他動的に関節を動かしたときに抵抗として生じるトルク)

→個別の筋の柔軟性を評価することができないのが問題点

近年開発された筋の硬さの指標

③弾性率 Elastic modulus
・超音波診断装置にて発生させたせん断波の伝播速度から算出
・弾性率は各筋で測定可能

→筋の硬さの変化を個別の筋ごとに定量的に評価可能に

弾性率が高いほど筋が硬いことを示す

研究紹介(IchihashiN, et al. 2016)

ハムストリングスのスタティックストレッチングを4週間実施介入前後に半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の弾性率を計測

ハムストリングスのスタティックストレッチングを4週間実施介入前後に半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の弾性率を計測

【結果】
  • ストレッチング介入後、全ての筋で弾性率が低下(Table3)
  • 弾性率の変化率は半膜様筋で最大(Figure2)

研究紹介(Ichihashi</p> </dd> </dl> <p>N, et al. 2016)

高齢者班

担当教員:池添 谷口
研究員:加藤
D3:廣野 簗瀬
D2:田中
客員研究員:福元

高齢者班
転倒リスクやロコモティブシンドロームに関連する要因を明らかにすることは理学療法の重要なテーマのひとつです。
高齢者班では、身体機能や運動能力の加齢変化を明らかにすることを目的として、地域在住の中高齢者および施設入居高齢者を対象に多面的な評価測定を実施し、横断・縦断的に検討しています。

発表論文

“高齢者の歩行周期の変動性に影響を及ぼす因子は男女で異なる ~長浜コホートによる大規模研究~”
(Inoue W, Ikezoe T, Ichihashi N, Aging Clin Exp Res, 2016)

  • 対象:地域在住 健常高齢者 712名
  • 慣性センサーにより歩行周期変動性を評価し、下肢筋力(大腿四頭筋セッティング、股屈曲・外転・伸展、膝伸 展、足趾屈曲)および姿勢制御能力との関連を検討。
  • 歩行速度に影響を与える下肢筋力は男女で異なる。
  • 女性の歩行変動性には股関節外転筋力が関連する。

G-walk:歩行速度、ケイデンス、歩幅、立脚時間を計測できる
G-walk:歩行速度、ケイデンス、歩幅、立脚時間を計測できる

滋賀県・長浜市在住の高齢者を対象とした大規模コホート研究を実施

滋賀県・長浜市在住の高齢者を対象とした大規模コホート研究を実施

足圧分布測定装置(Win-Pod)

足圧分布測定装置(Win-Pod)

足底面のどの部分にどれだけ圧力がかかっているかを測定し、足圧中心(COP)の移動量から動揺の程度を評価します。
主に静止立位(静的バランス)の評価に用います。

BIODEX Balance System
BIODEX Balance System

支持面がすべての方向に傾斜する。不安定な支持面上で立った時の動的バランスの評価が可能です。

予防理学療法班

担当教員:市橋 建内 太田
研究員:八木 加藤
D2:田中
客員研究員:山縣

理学療法士は臨床の現場で、患者の動きを評価して運動機能の問題点を抽出します。しかし、視覚的な評価は評価者の能力に依存します。一方で、研究の現場で多用されている従来の動作分析装置や床反力計は非常に高価であり、操作や解析に時間と労力と専門的な知識を要します。
そこで、予防理学療法班では、もっと安価で簡便な方法で客観的に運動機能を評価する方法を開発しています。将来は、それを運動施設などで使用することで、一次あるいは二次予防に役立てたいと考えています。


 

スケルトンアルゴニズム(OpenPose)によって、市販のデジタルカメラで撮影した画像から深層学習で自動的に関節点を推定することが可能です。それを応用し、歩行中の下肢の関節角度や歩幅などの歩行パラメータを簡単に測定しようと試みています。


 

フレーム差分法によって、複数の連続する画像から対象物の動きを検出することが可能です。
それを応用し、バランス過大中の身体の動揺を簡単に測定しようと試みています。

 

3D Analysis Team

担当教員:パタキ 建内 谷口
研究員:八木
D3:廣野
M2:浅山
M1:小林 岩根 小松
客員研究員:山縣 梅原

3D Analysis Team
現代のヒトの3次元運動を計測する技術がオフライン2次元方法をリアルタイム3次元機能に変換してきましたが、その運動の機械的記述は、まだ1世紀以上前の2次元映画撮影術方法から開発されてきた関節座標系に頼り、標準の科学的記述及び統計的解析はいまだに2次元方法から得た座標系に強く依存しています。
3D Analysis 班は、三次元解析・視覚化手法を開発、妥当性を確認、医療応用に適応することを目指しています。
  • ソフトウェア開発

    3D統計

    統計パラメトリックマッピング
    確率場論
    3D ポーズ解析

    3D統計

    3D視覚化

    関節運動及び運動変化は3Dの視覚化でわかりやすくなる?

    3D視覚化
  • 基礎研究

    2D解析の妥当性

    3D 運動を別々の2D平面に分けて解析することが妥当?
    ヒトの関節は2Dのみの運動が可能?

    2D解析の妥当性

    3D運動の再現性

    ヒトの複雑な3D運動の再現性をどう定義すれば良い?

    3D運動の再現性
  • 応用研究

    3D形態と痛みの相関

    骨や筋肉の3D形態は関節痛に影響を及ぼす?

    3D形態と痛みの相関

    3D運動と負傷リスク

    負傷のメカニズムを明らかするには、3D解析が必要?

    3D運動と負傷リスク

姿勢班

担当教員:市橋 池添 建内 太田
研究員:加藤
D3:簗瀬

加齢に伴い、姿勢や体型などの外見が変化していくことは周知の事実です。姿勢班は株式会社ワコール 人間科学研究所との共同研究として、姿勢や体型などの外見と運動機能や運動器障害との関連を明らかにしようと取り組んでいます。

姿勢班
(株式会社ワコール 提供)
3Dボディスキャンを用いて、からだ全体の形を計測することで、脊椎のカーブや立位時の関節の角度だけでなく、バストの位置やヒップのボリュームなど、外見をより詳細に解析することが可能です。
10代から70歳代までの幅広い年齢層の女性を対象とした大規模な測定会を毎年実施し、横断・縦断的に検討しようとしています。

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