京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース
臨床バイオメカニクス研究室

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Accept News ~梅原客員研究員(関西医科大学)の論文がJournal of Applied Physiologyに採択されました~

2025年04月1日

Accept News!!

 

梅原客員研究員(関西医科大学)の筋形状が筋力に関係するということを示した論文がJournal of Applied Physiology(IF: 3.3)にacceptされました。

 

Skeletal muscle shape influences joint torque exertion through the mechanical advantages
Jun Umehara, Masashi Taniguchi, Masahide Yagi, Ganping Li, Mazen Soufi, Yoshito Otake, Yoshinobu Sato, Yoshihiro Fukumoto, Momoko Yamagata, Ryusuke Nakai, Noriaki Ichihashi
Journal of Applied Physiology (IF: 3.3)

 

研究の概要​:

骨格筋の形は機能に影響するのだろうか?骨格筋バイオメカニクス分野における過去の研究は筋の大きさ(体積や断面積)に注目しており、筋形状の機能意義は未だ明らかとなっていなかった。本研究では、統計形状モデリングという形状を定量化できる解析手法を用いて、この課題に取り組んだ。健常成人33名を対象に下肢のMRI画像を撮像し、人工知能による自動セグメンテーションを用いて、大腿四頭筋の形状を抽出した。抽出した大腿四頭筋に対し相同化及び次元削減法を用いて、大腿直筋、外側・内側・中間広筋の統計形状モデルを構築し、形状の特徴を表す形状成分スコアを算出した。筋の体積、形状成分スコアを独立変数、膝伸展筋力を従属変数とする重回帰分析を行った結果、外側広筋と中間広筋では筋の体積のみが有意な独立変数であった。興味深いことに、大腿直筋と内側広筋では筋の体積に加えて形状成分スコアも有意な独立変数として選択され、体積が大きいことに加え、大腿直筋の内外側方向の湾曲が大きいほど、内側広筋の遠位部が前方へ膨隆しているほど、膝伸展筋力が強いことが分かった。このメカニズムを明らかにするため、モーメントアームと作用線を算出し筋形状との関係を調べたところ、大腿直筋の湾曲や内側広筋の膨隆が大きいほど、前額面上で作用線が内側を向いていることが分かった。また、内側広筋の膨隆は膝蓋大腿関節の外側回旋モーメントアームとも関連していた。これらは膝関節内側方向の力成分を増加させるものであり、内外側の力分配を適切化することで大きな筋力発揮に貢献したと考えられる。以上より、筋の3次元形状は力学的利点を変化させることで
筋力発揮に影響することが明らかとなった。本発見は骨格筋バイオメカニクスにおける筋形状の機能的意義を示したとともに、筋形状に着目した評価法やトレーニング法など、リハビリテーションの新たな展開に繋がる可能性を秘めている。

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